予防審美
小林歯科クリニック
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これからの歯科のかかり方

歯周病を起こすリスク、歯周病が起こすリスク


かつて成人病と呼ばれていた脳卒中、動脈硬化、ガン、糖尿病などを、いまは生活習慣病と呼びます。
病気の原因のすべてが生活習慣の中にあるのではありませんが、いずれの病気も、生活習慣の改善が病気の治療になり予防になります。
歯周病も同様です。
歯周病の治療と予防の第一はプラークコントロールです。口の中の細菌を健康な状態に保つことは、体の健康にもつながります。
体力が衰え、せきをする力が弱くなると、誤って細菌だらけの唾液が気管に入り、肺炎を起こします。
微熱に悩まされるだけでなく、思わぬ死を招くこともあります。
口の中の細菌や歯ぐきの炎症は、動脈硬化や心臓の病気の原因になることが疑われています。

慢性の病気はいくつかの原因が重なって起こります。
歯周病がひどくなる場合にも、細菌がつくるバイオフィルム(下水のパイプにこびりつくような細菌の構造体)のほかに、遺伝子的な要因、歯ぎしり、喫煙、糖尿病などの全身の病気や薬物などがかかわっています。
これをリスク因子とよんでいます。
年をとると歯周病になって歯が抜ける、と信じてる人もいますが、私たちの経験では、プラークコントロールがよい場合には、年をとっても歯周病は進みません。
いくつかのリスク因子がある場合には、おそらくリスクの蓄積が大きくなるのでしょう。年をとるにつれて歯周病は重症化します。

この歯周病のリスクのうち、最も大きな影響があるのはタバコです。
タバコが、成人のさまざまな慢性の病気の原因になっていることは、いまや常識ですが、タバコを喫っている人と喫っていない人では歯周病の進み方、治り方がまるで違います。
私たちの調査でも四〇歳代でひどい歯周病になっている人は、非喫煙者では24%ですが、喫煙者では56%にもなります。
喫煙者は同じ年齢の非喫煙者に比べて3.9倍も歯周病になりやすいのです。
タバコは歯周病の進行を速く、ひどくします。
米国では、ほとんどの歯科医院で禁煙指導をしています。

心臓、肺、血管、皮膚。
タバコはあらゆる病気を引き起こす大きな危険因子であることはもう常識です。
イギリスの調査では、70歳代の生存率は、非喫煙者80%、喫煙者59%です。
タバコの煙はタバコを喫っていない人も危険にさらします。
夫が一日20本以上の喫煙者では、副流煙で妻の肺ガン死亡率は1.9倍になっているという研究があります。

米国では、成人の喫煙者はすでに少数派です。
今ではむしろ、10代の若者の問題です。
わが国でも成人男性の喫煙者は減っていますが、若い女性や10代の若者たちの喫煙が増えています。
タバコはいったん吸い始めて習慣になってしまうと、大きな犠牲を払わなければ止めることは出来ません。
喫煙習慣は軽い気持ちの付き合いや大人の真似、小さな反抗心から始まります。そんなことから生涯、重荷を背負うことになるというのは、いかにももったいないことです。
教育や家庭で、タバコが麻薬と同様に危険なものであることを大人たちが教えるべきでしょう。

若い女性の喫煙は、太りたくないという願望から始まるようです。
でも喫煙がどれほど、肌を老化させるか、歯ぐきを黒く微笑みを台無しにするか、衰えに驚いてからでは遅すぎるのです。

年をとると、さまざまな病気とつきあうことになります。
糖尿病は血液疾患や免疫疾患とならんで歯周病と関連の深い病気です。糖尿病が歯周病と悪化させ、歯周病が糖尿病を悪化させる悪循環が起こります。
骨の中のミネラルが少なくなってスカスカになる骨粗鬆症も歯周病のリスク因子です。
このほか高血圧薬や精神薬、ホルモン製剤などの薬の副作用も無視できません。
年をとると、どうしても慢性症状を抑えるために薬を常用する傾向がありますが、その薬の副作用が歯周病のリスクになっているのです。