予防審美
小林歯科クリニック
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小林歯科クリニックがあります「原宿2丁目町会の刊行物やすらぎ」に投稿&掲載された文です。
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歯周病 と 喫煙

歯科医院を健診に訪れる成人のほとんどの方から、必ずといってよいほど「虫歯がありますか?」と質問されます。
しかし、歯を失う原因として15〜24歳までは虫歯が主たる原因(70%)ですが、40歳以上では歯周病が歯の喪失の主たる原因(80%)といわれています。
そして、その歯周病を最も促進させる危険因子が「タバコ」だということ・・・これは前号の「やすらぎ」でも触れました。
さて、そのタバコの害についてもっと知りたいというご意見を多数頂戴しましたので、今回は「歯周病と喫煙」に的を絞ってまとめてみます。


危険率は3倍以上

喫煙が歯周病を引き起こしやすくすること、または悪化させることは、今や常識となっています。
日本では成人人口の29.4%(2004年JT調査)が喫煙者ですが、歯周病患者では大半が喫煙者です。
喫煙者が重度の歯周病になる危険性は、非喫煙者の3倍にもなります。
しかも、この3倍という数字は過小評価!という見方が我々専門家の中では圧倒的で、喫煙量が1日に5本以上のスモーカーでは、8割もの人が中等度から重度の歯周病を患っているという統計もあります。

タバコの量に正比例します
歯周病で失う歯槽骨の量や歯周ポケットの深さと、生涯に消費するタバコの量が正比例するという報告は、世界中で多数存在しています。
また、最近の報道でも、喫煙者は非喫煙者に比べ、記憶力が落ちやすい!ということや自殺者が多いということが言われています。
つまり、喫煙は蓄積性かつ容量依存性で、歯周組織のみならず、全身そのものに重大な影響を及ぼしているということが証明されています。

家族の方も要注意
このように、喫煙と歯周病の因果関係は証明されていますが、さらに重大な問題は、家庭内や職場内での副流煙による間接喫煙の問題です。
非喫煙者の歯周病患者のなんと3割の人が、家庭内での環境的喫煙者で占められているのです。
職場内での環境的喫煙者を含めると、この数字はもっと大きなものとなるでしょう。
実際、屋外で喫煙してきた者が、喫煙後およそ2時間以内に屋内に入ってきた場合、屋内はいわゆるヘドの臭いで満たされます。判っているだけでその呼気から200種類の有害物質と37種類の発がん物質が含まれています。
喫煙者には自らに対してのみならず、他人に迷惑をかけていることをもっと自覚して欲しいものです。

治療効果に直接影響
進行した歯周病に対しては、歯周外科療法に再生療法を併用した治療法を用いることが多くなってきています。
しかしながら
、治療による効果も喫煙者は非喫煙者にくらべて、圧倒的に劣っていることが証明されています。
治療後の歯周ポケットの深さや、歯槽骨の再生、歯周病原菌の数などの項目で、喫煙者は非喫煙者とくらべて、著しく劣っています。

メカニズムは?
喫煙が歯周組織に及ぼす有害作用については、前号の「やすらぎ」でも述べましたが・・・喫煙がヒトに対して免疫抑制作用を発揮し、細菌をはじめとする寄生体との相互関係に有害作用を及ぼすことは、科学的に証明されています。
つまり、歯周病菌に感染しやすくなり、さらにはその菌が私達の身体の中で好き勝手をすることを、許してしまいやすくするということです

今からでも遅くない

過去に喫煙者だった人でも現在禁煙していれば、治療に対する効果は非喫煙者とほぼ等しいことが証明されており、禁煙が歯周治療に有効であることが示されています。
禁煙によって、治癒能力は非喫煙者と同等レベルまで、徐々にではありますが回復されるのです。


愛煙家(←既に死語ですね!)には耳の痛い話かも知れませんが
多くの喫煙者は、喫煙が健康に対して有害であることを少なからず認識しています。
しかしながら、リスクを伴う他の行動と比較した場合、喫煙の有害作用がどれだけ大きなものであるかは、まだまだ理解が少ないようです。
社会的に禁煙が浸透しているアメリカでも、死者全体の内ほぼ5人に1人が喫煙によって死亡しています。女性の場合、心血管系疾患が死因の第1位を占めています。
1960年代以降、第2位を占める肺がんの患者数は急速な増加傾向を示し、1989年には、女性のがんの死亡率第1位であった乳がんを追い抜いています。
男性の場合、肺がんによる死亡率は15歳以上のがんによる死亡率の第1位を常に占めています。
喫煙は社会に対する多額の経済的損失でもあります。喫煙に起因する疾患の治療に直接費やされる年間医療費は、タバコ製品の総販売額を2.5倍以上も上回っています。
地球規模では、年間400万人が喫煙によって死亡しています。喫煙により精神的に安定し、それが家庭内や職場の雰囲気の安定につながるといった意見や、タバコを吸いながらも100歳近くまで生きた人を知っているとか、いろいろな声が聞こえてきます。
しかし、科学的なデータに関しては、事実は事実として真摯に受け止め、禁煙が無理ならば本数を減らしてみるなど、なんらかの対策が必要でしょう。
喫煙の本当の害を知りながら吸っているのと、何も知らずに吸い続けるのでは、長期的に見れば結果が変わってくるはず・・・そう感じられる今日この頃です。

渋谷区分煙ルール
区内全域での路上・歩行喫煙の防止をめざし、あわせてまちの環境美化と安全を図るための「渋谷区分煙ルール」ってご存知ですか?
行政も、他の区に遅ればせながら、やっと重い腰をあげましたが、その内容や実際はまだまだお粗末至極で、ザル条例とも言われています。
しかしながら、ここ原宿2丁目町会が一日も早く、“路上・歩行喫煙者がいなくなった地域”と言われるようになってくれることを祈ってやみません。